カスタマーサクセスとは?目的や導入ステップなど基礎知識を解説
カスタマーサクセスとは?意味と目的を解説
カスタマーサクセスはシンプルに翻訳すると「顧客の成功」という意味ですが、より正しい解釈は「顧客の成功とそれを実現するための取り組み」を指します。ここでいう顧客の成功とは商品やサービスを使い続けてもらうことでパフォーマンスを最大化し利益につなげることです。つまり商品を売って終わる旧態依然の営業は本当の意味で顧客の成功とはいえません。 継続的に商品を利用してもらい期待通りの結果が出るまでサポートすることがカスタマーサクセスが示す本来の意味合いなのです。競合が多く差別化が難しいマーケットだからこそ製品価値を底上げする可能性が「売った後」のアクションにあるのです。
カスタマーサクセスの目的は主に3つ
カスタマーサクセスを取り入れる目的は主に次の3つにあります。
1.解約率・アップセルの管理
前述しましたが顧客の成長を達成するためには自社製品を長期スパンで利用してもらうことが前提です。カスタマーサクセスは長期利用を促進するためのコンセプトです。そのためには売った後のフォローアップによる製品利用に対する満足度を高めることで乗り換えを防止し、解約率を抑えることにあります。 また製品やそれに付随する総合的なパフォーマンスが高ければ顧客とのリレーション強化にもつながり他のサービスの追加受注の可能性も広がるのです。
2.お問い合わせの管理
カスタマーサクセスは自社製品の継続的な利用を促すための概念であることを説明しました。顧客の製品に対する満足度を高めるためには利用上発生する質問や疑問を解消する作業が欠かせません。 顧客からのお問い合わせはベンダー側が気が付かなかった製品の課題であることが多くあります。つまりお問い合わせを管理することで一つ一つの課題を洗い出し製品の品質向上に活用することで結果としてユーザービリティ向上につながるのです。こうした体制を整えることで顧客の信頼と愛着、つまりロイヤルティーを高められリレーション向上にもつなげられます。
3.Q&A,ナレッジベースの管理
顧客から製品に対する問い合わせや質問を吸い上げる手段としてQ&Aの設置はマストといえます。問い合わせに対して回答し製品を利用してる顧客の満足度を高めると同時に、質問内容は分析することでユーザビリティをさらに高めるための大きなヒントとなります。結果として課題から製品改善を繰り返せば、その価値を認めた新たな顧客獲得も可能となるでしょう。
カスタマーサクセスはどれくらい普及している?
カスタマーサクセスは欧米を中心に普及した考え方で昨今日本でも徐々に浸透し始めているものの、日本のBtoB分野ではまだまだ発展途上にある分野であります。その理由に2021年3月にUNIRITA社が行ったアンケート調査では「知っている13%」「聞いたことがある22%」「知らない65%」という回答で、実に80%以上の人が中身を詳しく知らないことが確認できます。 このデータからもカスタマーサクセスは日本においてまだまだ普及の余地が大いにあるといえます。
カスタマーサクサクセスが普及し始めた背景とは?
カスタマーサクセスは全く新しい考え方ではありませんが、インターネットが発達した現代だからこそ広く普及した考え方でもあるのです。 ネットの発達により購買者はより多くの情報を集められるようになり商品比較がしやすくなりました。加えてベンダー側のサービスも所有から利用型に変化したことで導入の初期コストが大幅にダウンしました。こうしたマーケットではいかに差別化を行い優位性を発揮するかが選ばれるための鍵になります。つまりこれまで以上に「選ばれるサービス」を提供する必要が求められるようになり、カスタマーサクセスの考え方がこれまで以上に重要性を高めているのです。
カスタマーサクセスを導入するには?
企業がカスタマーサクセスを導入するためのステップを四つに分けて紹介します。
1.カスタマーサクセスの目的を決める
一言で顧客の成功といってもあまりに漠然としています。より具体的に顧客がどういう状態になれば成功なのか、定義を明確にしておきましょう。このときなるべく利用側の担当者と打ち合わせを行い製品の利用目的をすり合わせした上で、その顧客にとっての達成すべき状態を数値化することが重要です。カスタマーサクセスの目的を明確にしておくことで次のステップであるサービス選びを正しく実行できます。
2.カスタマーサクセスに使うツールを決める
カスタマーサクセスをマーケティングの実践に移すと活動は多岐にわたります。その分活用可能なツールLTVアップを目的としたツールや自社の業務負担を軽減するFAQツールなどもシーンに応じて様々です。カスタマーサクセスの中でも自社製品を長く使ってもらうために「どこに注力すべきなのか」顧客のツボを抑え適切なツールを決定しましょう。
3.カスタマーサクセス部隊を編成する
カスタマーサクセスで重要なことはサービスの質を向上させることです。そのためにもカスタマーサクセスを下支えする専門部隊を組織し、営業部隊と分業制にすることで質向上を目指しましょう。分業制を敷くことで顧客の分析に時間をかけられる分サービスの総合的な改善を目指せます。
4.カスタマーサクセスを実践する
カスタマーサクセスを実施する中で重要なのが顧客の利用状況を分析し、そこから派生した課題や改善点をサービスの品質向上に役立てる事です。そのためにも改善と修正のPDCAを回し続けることが実施上のポイントとなります。
カスタマーサクセス後に行うべきことは?
カスタマーサクセス後のアクションも差別化を行い、継続的に利用をしてもらうための重要な要素です。
目的に沿った成果を確認する
異なる目的を持った顧客を相手にしている以上、カスタマーサクセスは同じアクションを実行しても得られる成果は企業ごとに異なります。そのためカスタマーサクセス後は顧客ごとの利用状況と満足度を知るためにLTVを測るツールを用いて数値化することが重要です。当初定めた目的に沿った成果が出ているのか、目的と現在地の乖離を知る取り組みを恒常的に実行していきましょう。
成果に対して改善の余地は無いかを考える
カスタマーサクセスのゴールは顧客の成功ですが、営業活動の一環である限り自社利益にも繋げ、双方良しの関係性を目指さなければなりません。そのためにも継続的な利用促進に向けたアクションとして成果に対する改善を加え続けることが重要なのです。 ユーザーの満足度を向上させる余地がないかを検討することこそ製品品質のさらなる向上と新規顧客開拓の鍵となります。
まとめ
今回紹介したカスタマーサクセスの成功のポイントは製品利用を完全に顧客に委ねるのではなく、顧客が上手く利用をするためのサポートを行い成功に向かって「並走」することです。顧客の課題に寄り添い製品価値を発揮する、これこそ現在のマーケットにおいて競合と差別化し自社利益を最大化する鍵となるのです。